高速道路すぐ側の展望地ガットン・パーク
天気の悪い事の多いイギリスでは、土日共雨で、フリマにすら出掛けられない週末が結構あります。今年の秋は、特に多かったように思います。しかしそんなガッカリな週末でも、日曜の午後だけ(しかも結構夕方近く)突如晴れる事が時々あります。そんな時の為に、義母の家へ行く途中に、少し早目に家を出さえすれば、立ち寄ってちょっと散歩するのにぴったりと思えるスポットを、幾つか地図で探して把握しています。その一つが、高速道路25号線のReigate ライゲート(ジャンクション8番)出口近くの「Gatton Park ガットン・パーク」と呼ばれる公園です。NT(ナショナルトラスト)の管理ですが、入場は無料な為、ハンドブックには掲載されていません。今まで行った事はありませんでしたが、今回初めて立ち寄ってみました。
高台に在り、見晴らしが良いと聞いていましたが、おお、確かにこれは素晴らしい眺め。
ここNorth Downs ノース・ダウンズ丘陵から、30~40㎞離れたSouth Downs サウス・ダウンズ丘陵国立公園一帯まで視界に入ります。例に寄って海抜的には大して高くありませんが、周囲は更に低く標高差が少ない為、かなり遠くまで見渡す事が出来るのです。
ここは元々、18世紀の著名な景観デザイナー、ランスロット・「ケイパビリティ」・ブラウンが設計した庭園の一部でした。つまり、お屋敷に属していた訳ですが、その屋敷のほうは現在も東に在り、NTとは別の団体が管理していて、月に数回&午後だけ有料で一般公開されます。
ここから見える場所を示した案内板。ただし、正にどんぐりの背比べ的で、例え説明が有っても、どれがどれかは非常に見分けが付きにくいのでした。
この時9月初旬ですが、既に紅葉が始まっていました。
ロンドンから近く、更に高速道路の出口のすぐ側で、その上眺望抜群と言う事で、凄く人気のある場所なのはごもっともです。しかし駐車場は狭く、空きを確保するのはいつも大変なよう。多くは、本来駐車禁止の路上に駐車していました。
ここのカフェも大人気。飲み物やアイスクリームの他にパニーニ等の軽食も揃い、メニューは割と豊富なようです。その名も「ジャンクション8」。
道路に掛かる橋を渡って、西へ進みます。
尾根に沿って、幅の広い遊歩道が続いています。「North Downs Way」と呼ばれる、元はカンタベリーとウィンチェスターを繋ぐ巡礼道です。
これは、馬に乗る為の台。この遊歩道は、「bridle way 乗馬道」にもなっています。
すっごくでっかいキノコを見掛けました。いわゆる「サルノコシカケ」タイプで、ニホンザル位なら本当に座れそうです。
遊歩道すぐ脇の、見事に表面が緑色の藻?で覆われた沼。沼と気付かず草地と間違えて、誤って踏んで落ちそうで怖い…。
この遊歩道に並行して、北側に緑地道も続いています。
ここからは、ロンドン方面が見渡せます。ロンドン中心部の高層ビル街もこの通り。
テレビ塔や携帯電話の電波塔が立っていて、この辺りで一番標高の高い場所なのは確かです。
更に西へ進むと、こんな厳めしい門に遭遇。ナポレオン戦争時代の要塞跡の入り口です。ここもNTの管理で、誰でも見学出来るようになっています。
当時このノース・ダウンズ丘陵地帯には、合わせて13の要塞が築かれました。ナポレオンの脅威が、いか程だったかが想像出来ます。
土塁と土溝で囲まれていて、構造的には約2000年前のヒルフォートと大差ありません。
しかし建物が残っている点は、やっぱり鉄器時代の遺跡とは異なります。
中の様子も再現されています。やはり、今も昔もいつでも何処でも茶を飲んでいたか、英国人。
建物の多くは、こんな地下構造になっています。
この鉄格子の装飾がちょっと可愛いと思ったら、何故軍事施設の鉄格子がこんなに装飾的なのか、今でも謎だそうです。
幸いな事に、結局はナポレオンがイギリス本土を攻めた事はなく、これらの要塞は実戦で使われませんでした。
更に、飛行機が開発され、戦争の主流が空からの攻撃の時代になると、これら内陸の要塞はお役御免となりました。
ここもかつては展望抜群の立地だったはずですが、今は木が高く生い茂って、少し見辛くなっていました。
要塞の外にも、こんなbunker(掩蔽壕)が残っています。
更に西へ進むと、ちょっと視界の開けた場所がありました。
その両脇に、こんな謎の木製オブジェが置かれていました。実はここは第二次世界大戦時に、ドイツ&チェコ国境に向かうはずだったアメリカのB17戦闘機が墜落し、9名のクルー全員が事故死した現場で、オブジェは飛行機の翼を表していて、記念碑として置かれているそうです。
遊歩道は更に西へ続いていますが、この日はここで引き返しました。こんな丘の上にも家が数軒在り、一つの家の猫モチーフの鉄看板がやたら可愛いと思ったら…、
実はこの家は「cattery」で、 すなわち留守中の猫を預かる猫ホテルでした。道理で、サインは猫だらけ。
うちから手軽に行ける、こんな眺めの良い清々しい場所があるとは、今まで知りませんでした。ただし、人気があり過ぎて人は多いし、何より駐車し辛いのが難点です。ここで意外に思ったのは、インド系の家族やアフリカ系のカップル等の有色人種を多く見掛けた事。イギリスで移民は全く珍しくなく、特にこの南東部には集中して、フリマなんて半数以上の入場者が移民に見える程です。ところが、NTのような自然を楽しむ場所では、昔からの生粋のイギリス人、すなわちアングロ・サクソン人が圧倒的に多く、普通は移民系が驚く程少ないのです。しかしここは、やはり誰でも、移民だけでなく観光客も立ち寄り易い、アクセスの手軽さが決め手なのかも知れません。
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by piyoyoyonyon
| 2019-10-29 15:28
| 旅行・お散歩
こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も3冊目となりました。1冊目、2冊目と共に宜しくお願い致します。
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