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歩き過ぎたペットワース・パーク

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私が住むイギリス南東部で、一ヵ月以上ぶりに晴れた週末がありました。当然、夫婦揃って何処かへ出掛けない訳がありません。既に家の周囲の紅葉も随分進んでいたので(イギリスでは8月末位から紅葉が始まるのですが)、目的地は紅葉とハイキングの楽しめる場所を選びました。それが、今までも何度も訪れている、広大な敷地を持つ、ウェスト・サセックス州のNT(ナショナルトラスト)の御屋敷&庭園「Petworth House & Park ペットワース・ハウス&パーク」です。
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しかし、正直言って、紅葉の真っ盛りにはもうちょいでした。最盛期には、この「Rotunda」と呼ばれるギリシャ神殿風の東屋の隣のカエデは、見事に全体が色付くはずなのです。
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天気の悪い日が続いた分、ハイキングも久々なので、今日はとにかく大量に歩きたいと思います。今まで足を延ばした事のない、この丘の向こうの敷地の最奥まで行ってみるつもりです。
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館の西には、大きな池が見えます。
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まるでゲインズバラやコンスタブルの絵のような景色…と思われるかも知れませんが、自然の野山に見えて、実は英国式景観式庭園を確立したランスロット・「ケイパビリティ」・ブラウンに寄って、緻密に設計され造設された代表作の庭園の一つなのです。
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ケイパビリティ・ブラウンは、当時の上流階級者にとっては引っ張りだこの景観デザイナー(造園師)だったようで、その名はNTの名だたる御屋敷&庭園で本当に良く耳にします。ゲインズバラは、イギリス人に最も愛されるような風景(現代のお菓子缶にプリントされるみたいな)を描き、そしてほぼ同時代のケイパビリティ・ブラウンは、そんな風景を庭に再現したのでしょう。
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丘に登りました。今回は、この北西の最奥の森まで歩きたいと思います。
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こちら側にも、池があります。
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森の背後に見えるのは、サウス・ダウンズ丘陵の最高峰ブラックダウン・ヒル
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振り返って南東に見えるのは、展望地のあるダンクトン・ヒル方向のようです。
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西方面の丘の上には、塔が在るのに気付きました。
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この辺りで、キューキューと言う大勢の生き物の鳴き声が聞こえ、最初は夫婦揃って水鳥の群れかと思ったのですが…、
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…実は鹿の群れでした。このペットワース・パークは、イングランド最大の「deer park 鹿公園」としても知られています。
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しかも凄い大群。鹿の大移動です。英国の鹿公園とは、元々は中世の王侯貴族の狩猟の為の、囲いの中に鹿を放し飼いにしていた場所の事で、勿論今は狩りが目的ではなく単に放牧されているだけです。ここの鹿は、奈良公園の鹿のように人馴れしてはおらず、このような広大な公園ではあっても、こんなに至る所に人間が居る日は、人を避けて群れて移動するしかないのでしょう。
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鹿がこんな声を出すとは知りませんでした。恐らく、先程聞いた甲高い声は牝か仔鹿の物で、雄鹿はまるで猛牛のような低い声を出しているようです。
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壮年の雄鹿は、角も立派ながら、牝に比べて体自体も随分と大きく見えます。日本の鹿公園では、安全対策の為に(人間、鹿同士共に)毎年雄鹿の角を切り落とす事が多いと聞きますが、その際鹿が多大なストレスで死んでしまったり、またはパニックになって他の鹿を殺してしまったり、切り落とす係の人間にとっても危険な作業なのには違いなく大変なようです。しかしここでは、角は伸ばしっ放しのようです。
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良く牡は群れから一歩離れた場所に居て、しんがりを務めて家族を見守っているように見えます。後は…、本当に雌鹿の尻を追い駆けていますね。時々、ガツーン(雄同士の喧嘩)も聞こえました。秋は雄鹿の角が成長し切る季節であり、また恋の季節でもあるようです。
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最奥の森に到着しました。倒れた木をベンチ代わりにし、フラスクでお茶の時間にします。
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公園の敷地は更に森の奥まで続いているようですが、今回はここで引き返します。この距離を歩いて来ました。宮殿のように巨大な御屋敷は、ここからでは丘の陰に隠れて見えません。
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最奥の森の端には、絵になるコテージ(田舎家)がひっそりと立っています。これまた、イギリス人が大好きな原風景の一つです。
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雨が続いたせいか、草原に小川が流れていました。かなりの水量で幅も広いので、ウェリーズ(ゴム長靴)を履いて来て正解でした。
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ところがこの川、先で突如消えています。一度地中にしみ込んで、池辺りでもう一度湧き出すのかも知れません。
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日本と違い、イギリスの紅葉は徐々に進むので、同じ場所の同じ種類の同じ位の大きさの木でも、紅葉している物もあれば、まだ青々としたままの木もあります。
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もう夕方だと言うのに、まだまだ人がやって来て散歩していました。ポーズが見事にシンクロした、全く知らない人達を撮影(笑)。
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ここの鹿は、夕暮れが近付くにつれ益々活動的かも。本来鹿は夜行性ではありませんが、人が多い場所では夜に活発化する事もあるそうです。
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鹿の群れの中に一匹だけ白い生き物が混じっていて、ちょっと驚きました。一瞬山羊かと思いましたが、アルビノの鹿のようです。日本なら、白鹿=神の使いとして崇める所です。
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久々の気持ち良い快晴で、日頃の運動不足を解消する程ガッツリ歩いたし、紅葉も楽しんだし、鹿もたっぷり観察出来たし…と、二人共凄~く満足した一日でした。
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ところが! 駐車場に通じる鉄格子の門へ戻ると、既に閉まって鍵が掛かっています。実はこの時間でも散歩していた人々は、駐車場とは違う門から入って来た地元民で、NTの閉園時間自体はとっくに過ぎていました。慌ててその出入り口を探し、駐車場までの2㎞近くを、強歩でペットワースの町を通過しました。気掛かりなのは、駐車場の門まで既に閉まって、帰宅不可能になるんじゃないかと言う事。こんなロマンティックな町を、こんなに気を揉んで通り過ぎたのは勿論初めてです。―――そして到着した時、危惧した通り、駐車場の門はとっくの1時間前に閉まっていました…。
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途方に暮れましたが、門のサインに緊急の電話番号が小さく記してあるのを見付け、すぐに連絡しました。10分後位に、駐車場管理会社のスタッフがやって来て、門を開けてくれました。その時「念の為車のナンバーを登録します」と言われ、ブラック・リストに載ったかも…(苦笑)。
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帰路の車の中では、しばらくは二人共、肉体的な疲労と精神的なショックで何も話せませんでしたが、突然「ホントに良かった~~~!!」と大笑いしました。何度も訪れている場所だからと油断して、二人揃って閉園時間も現在時間も全く考えなかったバカ夫婦です。気付いた時には、P太がパニくっている手前、私は出来るだけ冷静を装いましたが、本当は泣きたくなる程恥ずかしく情けなかっただけでなく、何度も悪夢として現れそうな程トラウマ的な恐怖の体験でした。結局その日は、十分過ぎる程運動し(何せ長靴で強歩)、夫婦揃って筋肉痛に苦しみましたとさ(爆)。





by piyoyoyonyon | 2019-11-20 15:29 | 旅行・お散歩


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も3冊目となりました。1冊目、2冊目と共に宜しくお願い致します。


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