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フィンランドのソウル・フード、カレリア・パイ作り

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P太の実家では、復活祭やクリスマス、家族の誕生日等のお祝いの日の夕食に、カレリア・パイを前菜として食べます。カレリア・パイは、ライ麦の生地にミルク粥を入れて焼いた、形も味わいも独特なパイで、言わばフィン人のソウル・フード。元々はフィンランド東部のカレリア地方の伝統食である為、「karjalanpiirakka カルヤランピーラッカ」、または「riisipiirakka リーシピーラッカ=お米のパイ」とも呼ばれます。いつもは、フィンランド教会のクリスマス・バザーかイースター・バザーで冷凍のカレリア・パイを買いますが、生憎今年は品切れで手に入れる事が出来ませんでした。カレリア・パイのない復活祭なんて、P太一家にとって一大事! となれば、作ってみるしかない?と思い立ち、日本人の私が挑戦してみる事にしました。復活祭に先駆け、2月の義母の誕生日用に、まず3日前に予行練習し、誕生日の前日に本番として再挑戦しました。
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最初に、ミルク粥を作ります。ミルク粥=ライス・プディングは、ヨーロッパ一帯で一般的なデザートですが、このパイには甘くないライス・プディングを使用するのが変わっているそうです。その為、ウェールズ人の義弟(義妹の旦那)にとっては、最初は慣れない抵抗のある味でした。一回目は、普通に炊いた日本の米の冷凍を使用しました。悪くなかったけど、微妙に食感が違うなと思い、二回目はライス・プディング用の米(見た目は日本米に良く似ている)を買って来て、フィンランドのレシピに則って煮てみました。米よりちょい多めの量の水を沸騰させて米を入れて煮、十分柔らかくなったら水分を飛ばし、ミルクを入れてドロッとするまで煮詰めます。家庭に寄っては、米の粒々がかなり残る状態にするようですが、うちで食べる冷凍物同様に、最早糊に近いグズグズの状態にしました。このライス・プディングに味付けは一切しないレシピもありましたが、塩を入れた方が美味しいようです。これを冷まし、卵を混ぜておきます。
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次にパイ皮を作ります。材料は、ライ麦と塩と水だけ。ライ麦粉を買うのは初めてで、全粒粉と精製粉が売られていた中、全粒粉を選びました。粉に少しずつ水を混ぜて捏ね易い硬さにし、寝かす必要もありません(が、少し寝かしたほうが纏まりが良いようです)。本来はライ麦100%がカレリア地方の伝統だそうですが、義母が歯が弱い為、私は小麦粉を3割程度混ぜました。
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この生地から、縦15cm×横10cm程度の楕円形を沢山作ります。棒状に伸ばして等分し、団子状に丸めた物を楕円に伸ばす…と言う方法もありますが、私は生地をまず5、6㎜の厚さに延し、直径10cm程の円型のクッキー型(うちのはポーランドのピエロギ型らしい)で刳り貫き、それを楕円に伸ばす方法を取りました。大きさにバラツキが出にくいので、私にとってはこの方が効率が良いように思えました。この時、フィンランドでは端が細めになった小ぶりの麺棒を使いますが、丁度似たような餃子用の麺棒を持っていたので大いに役に立ちました。生地が張り付き易く切れ易い為、打ち粉(ライ麦+小麦)はたっぷり目に。沢山のレシピが存在するから、見比べて自分に合った方法を取るのが良いと思います。楕円の生地は、透ける程薄くする物だそうです。オーストリアのシュトゥルーデル並み? 冷凍のカレリア・パイの生地がそんなに薄いと言う記憶はないのですが、ライ麦生地は焼くと相当硬くなるので、確かに薄けりゃ薄い程良いだろうとは思いました。
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楕円の生地にミルク粥を乗せ、形成して行きます。この時、ミルク粥の量は少な目に、生地全体に薄く塗るように乗せるのがコツだそうです。最初はつい多目に、中央に盛り気味に乗せてしまいますが、そうすると上手く形成出来ません。薄く塗るように乗せても、生地の端を折ると、自動的に中央が盛り上がる仕組みにになっています。
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楕円の長辺の両端を折り、両手で線対称にヒダを折り畳んで行き、アワビみたいな形にします。このヒダは、生地同士をくっ付けてはいけないそうです。何故なら、生地が分厚くなって硬くなるから。確かに、理にかなっています。楕円の尖った部分は、どうしてもヒダがくっ付きますが。
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予め170度に熱して置いたオーブンで15~20分焼いて、香ばしい匂いがして来て、中央のミルク粥に軽く焼き色が付けば焼き上がりです。溶かしバターを刷毛で塗り付けますが、バターを溶かした温かい牛乳に焼き立てを潜らせるレシピもあります。また、焼く前にツヤ出しの為に卵黄を塗り付けるレシピもありましたが、焼き上がりにバターだけで十分だと思いました。感想としては、え?実はこんなに簡単だったの?でした。言わば一番シンプルなクッキー並みで、ピエロギや点心よりは楽、プッラ(フィンランドのシナモンロール)よりは遥かに楽です。ライ麦粉さえ常備しておけば、思い立った時にすぐにでも作れます。今回は義母の誕生日に上げる分だけじゃなく、二回挑戦して大量に作ったから、チャック式袋に入れて冷凍保存しました。
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このカレリア・パイを、P太母は専ら前菜として出しますが、本来は朝食や軽食に食べる物だそうです。そしてライ麦生地は、極力薄く延ばしても、やっぱりナイフとフォークでは相当切り辛い為、本当は手掴みでパクッとやるほうがずっと美味しいと感じます。
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麦のパイ皮にミルク粥の詰め物とは、炭水化物+炭水化物で焼きそばパンと同類じゃないか!と文句を言う日本人も居ますが、このパイ自体には余り味がなく、スープやハム、ソーセージ等のおかずと一緒に食べる、あくまで日本人の御飯的な存在です。特に、茹でて潰した卵にたっぷりバターを混ぜた「ムナヴォイ」は、カレリア・パイの代表的な御供。只今コロナの影響で卵が入手しにくい為、ほんの少しだけムナヴォイを乗せていますが、本当はこの倍位たっぷり付け合わせます。
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年に2、3度だけのお楽しみだったカレリア・パイが、こうしてしょっちゅう食べられる事になった訳ですが、ムナヴォイを作るのは意外と時間が掛かるし、卵+バターでコルステロールがめちゃ高い…。そこで、ムナヴォイの代わりにコテージ・チーズを添える方法を見付けました。これならすぐに食べられる上に健康的だし、味わいは結構似ています。更に、カレリア・パイの皮はライ麦だけにし、詰め物は大麦のミルク煮に替えてGI値を下げ、焼き上がりに塗るバターはオリーブ油に替えた(※無くても可)、ダイエッター・ピーラッカも作りました。北欧フィンランドでは寒過ぎて米は育たない為、米が輸入される以前の時代は、カレリア・パイの詰め物にも実際大麦が使用されていたそうです。大麦のパイも不味くはありませんが、ライス・プディングのようなトロリとした食感はないので、ポーリッジ(オートミール)でも良かったかも知れません。
 




by piyoyoyonyon | 2020-04-11 15:30 | 飲み物・食べ物


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も3冊目となりました。1冊目、2冊目と共に宜しくお願い致します。


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