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ビンテージ・レースの詰め合わせ

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その日のフリマは、出店数は多かったものの、結局一通り見渡しても、最後まで入場料を払ってまでも来た甲斐があると思える収穫がありませんでした。そこで、一度は見送った、ビンテージ・レースを売っているストールを訪れました。半端なく古い、非常に凝ったレースの端布が、大きなビニール袋にどっさり詰まっていました。一度見送ったのは、高そうに見えるけど、サイズ的にはドール服作りには皆大き過ぎるし、また傷んでいる部分も多いので、活用するには難しそう…と思ったからです。しかし最終的に、試しに一切れ幾らか尋ねてみると、売り主の20歳代位の綺麗なおねえさんは「10ペンス」と答えました。…ん?安いっ。捨てるような値段ではないか。では、もし一袋全部丸ごとなら幾ら?とすかさず尋ねると、1ポンドで交渉成立。
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で、袋に入っていた物がこれらです。一度全部手洗いしましたが、水が茶色くなりました(笑)。改めて一つ一つ確認してみて、うわーこれは本当に相当古く、非常に繊細で凝った造りのレースが多いと少し興奮しました。どう見ても概ね戦前の物で、中にはヴィクトリアンやエドワーディアンのレースも混じっていると思います。
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まず、クリュニー・タイプのボビン・レースのテープ。エーデルワイスのような花が連なった、かなり好みのデザインです。
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ふっくら厚みのある、エンブロイダリー・レースのテープ。
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幅広(約11cm)のリバー・レースのテープは、全長7m位もあり、心置きなく利用出来そうです。尚且つ、これが一番ドール服には活用し易いだろうと睨んでいます。極細の綿か麻糸で編まれてあり、変色はあるものの、解れはほとんどありません。もしこれが現代のラッセル・テープのように化繊糸だったら、経年劣化であちこち糸が切れていた事と想像しています。
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普通は下方に来るスカラップに対し、バラの位置が上下逆さまなのがちょっと不思議な図案です。
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同じく、天然糸で織られたらしい、非常に繊細なチュール・レース生地の端布。
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幅5cm程のトーション・レース・テープは、イギリスでは割と良く見掛けるタイプ。下段は、もしかしたら手編みのクロシェ・レースかも。
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綿レース・テープにしても、現在の製品は化繊混の物が多いようですが、これは綿100%で可憐さが引き立ちます。
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最初に一つだけ買おうと思っていた端布は、これでした。どうやら、元は服の裾のようです。
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極薄の綿ローンに、様々なレースと刺繍を複雑に組み合わせた繊細な装飾にもウットリですが、死ぬ程細かいピン・タックにまた驚き。
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中央の円形の窓部分には、リバー・レースが嵌め込んであります。
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一方両端の窓部分は、刳り貫いてありません。しかし、これでも十分繊細です。
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こちらも元は服の一部だったようで、生成り一色だけでも非常に充実したデザインです。無地のドール服をレースで装飾するとなると、普通はひたすらレースを縫い付けなくてはならなのですが、これは一枚でエプロンなんかに使うと映えそう!
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詰め合わせの中で特に迫力だったのが、この服の身頃部分のみ切り取った物。多分元々は下着で、もしかしたらコンビネゾン型(シュミーズとドロワーズの一体型)だったのかも知れません。
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襟ぐりと袖開き部分のクロシェ・レースは繋がっていて、明らかにこの服用に編まれた物。布地自体はシミで相当傷んでいますが、このレースだけでも切り取って保存しておこうと思います。
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ドイリーも幾つか混じっていました。これらは、多分元持ち主のお手製と思われます。
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ドイリーでは、イギリスで良く見掛けるクロシェ編みより、ドロンワークに寄り惹かれます。
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クリュニー・レースのコースターのような小さなドイリー、と言うかモチーフ編みは、そのままドール服に縫い付けて生かせそう。
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詰め合わせ中の最も大きな作品だった、クロシェ・レースの直径80cm位のテーブル・クロスです。コーヒー・テーブルと呼ばれる、小さなテーブルにぴったりのサイズ。
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一番見事な花のような中央部分に生憎大きな解れがあり、もし自分で修復出来たら、どんなに美しく復活出来るだろうと想像します。
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ビニール袋の中には、こんな紙袋も入っていました。紙袋の中身は、綿のレース糸と、何故か昔の不動産案内の書類です。南ロンドンの家の価格が、賃貸料か?と思える程の値段!
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最初は買い渋ったレースの詰め合わせでしたが、よくよく考えれば、例え大部分が解れやシミで傷んでいても、僅かな大きさの切れ端でも、レースって編み方に寄ってはモチーフのみを切り取って使用出来るし、ドール服だけでなくカードを装飾したりと活用範囲が広いんですよね。勿論、これをカテゴリーAの収穫に昇格出来るかどうかは、今後の私の使い方次第です。
  




by piyoyoyonyon | 2020-11-11 15:21 | ファブリック


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