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湖水地方の宿

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湖水地方に到着する前日に予約した宿は、Brigsteerと言う村に在る、パブを兼ねた「The Wheatsheaf Inn」と言う旅籠でした。「wheatsheaf」は小麦の束と言う意味で、パブの名前としてはイギリス中で割と良く見掛けます。
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Brigsteerは、どちらかと言うとKendalに近い、国立公園の東端の、急な山の斜面に家々がへばり付く様に立つ村です。村内の自動車道はどれも狭い坂道で、カーブは全てヘアピンで曲がり切れない為、村に近付くorから去る時に、かなり遠回りしなくてはなりませんでした。
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この宿は、もしかしたら元々は穀物の水車小屋だったのか、小川のすぐ脇に立っています。テラス席の一部は、正に川の上。
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この外部の階段から、宿泊部屋へ行きます。
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ホテル予約サイトでの評価が高く、更に予約サイト会員には宿泊料の割引の特典がある宿でしたが、それでも湖水地方の宿は、大人気の観光地だけに概ね安くないと思いました。だって部屋は狭く、寝具がこの二段ベッド…。最初はまるで修学旅行生みたいだ~とはしゃぎましたが、もし一泊以上だったらさすがに窮屈に感じたかも。何せギリギリ前日に予約したので、選択の幅は余りなかったのです。念の為、設備機能や清潔さ、スタッフには全く不具合はありませんでした。
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上から5番目までの写真は、宿泊した翌日に撮った物で、実際には宿にはとっぷり日の暮れた8時過ぎに到着しました。チェックインを済ませ部屋に荷物を置くと、ただちに階下のパブで夕食を取る事にしました。この宿を選んだ決め手は、実はウェブサイトで料理が凄く美味しそうに見えたからなんです。凝ったお洒落な盛り付けの、地元食材に拘った独特なメニューが幾つかあり、明らかに腕に自信有りのガストロ・パブだと確信しました。店は、平日だと言うのに混んでいました。
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まずは、飲み物として地エールを注文しました。右が私のルビーの「Red Breast」半パイントで、左がP太の注文したアンバー「Swan Blonde」1パイントです。両方味見してみて、二人ともRed Breastのほうが美味しいと意見が一致。実は私、最近エールに割とハマっています。と言ってもやはり量は大して飲めませんが、ラガービールなんて何度飲んでも全く好きじゃないのに、美味しいエールは美味しいと思えるようになりました。食に地域性のほとんどないイギリスでも、エールなら何処へ行ってもそれぞれの土地の物が味わえるから、旅の楽しみが増えました。
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まず前菜として、whitebaitを二人でシェア。これはイギリスの定番の前菜の、ワカサギに似た小魚のフライで、安定の美味しさでした。付いているソースは、ハリッサ(北アフリカの唐辛子ベースのスパイス・ペースト)入りマヨネーズなのが、少しだけ変わっていました。
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次に主菜として、P太は「牛バラ肉のスロークック」を選びました。言わばビーフ・シチューで、クリームポテト(滑らかでクリーミィなマッシュポテト)の上に乗っています。
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更に、別注文で温野菜を添えました。
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マッシュルームや香味野菜と一緒にじっくり煮込まれ、赤ワインが利いて物凄くコクがあります。勿論肉は、ホロホロに柔らかく絶品。
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私は、他で見た事のないメニューな上、地元産チーズを使ったベジタリアン料理と言う事で、「ランカシャー・チーズと飴色玉ネギと松の実のパイ」を注文ました。
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付け合わせは、バター和えの温野菜、そしてクリームポテトかチップス(フライドポテト)かを選べる中、チップスを選択。
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一口食べて「美味しーい!」と感激し、思わず顔がニヤケました。全く期待した通りの味わいとでも言いましょうか、初めて食べる料理を一口目から美味しいと思える事って中々ありません。とろけるチーズの芳醇な風味が口いっぱい広がり、香ばしいパイ皮も美味です。チーズのインパクトが大きくて、玉ネギと松の実は余り感じられなかったかな。只かなりコッテリしているので、この大きさ(直径10cm位)で丁度適量でした。勿論チップスも、外側はカリッ、中はふっくらで上質です。
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続いてデザートとして、「ダーク・チョコレートのガナッシュ」を二人で半分こしました。
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ガナッシュはほぼ生チョコですから、味わいは濃厚なチョコレートそのものです。更に、ヘーゼルナッツが練り込まれています。そして、上に乗ったキャラメル掛けのポップコーンには、シナモンが塗してあります。このシナモンの、最後に舌先にスッと残る程度の上品さが絶妙。ポップコーンにこんなにシナモンが合うとは、と思わず唸りたくなりました。
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更に、付属のさっぱりしたオレンジ・シャーベットとの組み合わせがバッチリです。
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夕食は期待通りの美味しさだった上、すっかり会計時まで忘れていましたが、この日はイギリス版GO TO EATみたいな外食促進キャンペーン(「Eat Out to Help Out」と言う)の最終日で、半額の割引きがありました。実際には飲み物は割引対象外でしたが、元々イギリスの外食は高く付くから、値引きの効果は絶大です。しかし! この外食促進運動、そして9月からの大学再開、更にクリスマスの規制緩和が結局失策で、現在のイギリスのコロナの惨事を招いたと言われています(涙)。
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この宿は、宿泊料にフル・イングリッシュ・ブレックファーストが含まれているのも魅力でした。イギリスの宿の魅力が、充実した朝食にあると言っても過言ではありませんが、現在は朝食は別料金、または大陸式の簡素な朝食しか提供しない宿も多いのです。
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卵やソーセージ、ベーコンの質も悪くなく、普通に美味しい朝食でした。そしてその後、昼食時間を過ぎてもお腹が一向に減りませんでした。ここは前日に希望の朝食内容を所定の用紙に記入して提出するシステムで、P太は毎度ながらベイクド・ビーンズ無し&ブラック・プディング付きを選んでいたと思います。果物も選べるので、リンゴやオレンジと書いたら、皮を剥いてカットした物ではなく、丸ごとゴロッと出て来て、…家に持って帰って食べました(笑)。
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チェックアウトする直前に、部屋の洗面所の蛇口から流れる水自体が、冷たく柔らかく甘い、非常に美味しい水である事に気付きました。そう言えばパブの窓には、サイクリストやハイカーに、パブを利用しなくても飲み水の補給を無料で提供しますよ、との張り紙がありました。もしかしたら村自体が、美味しい湧水の豊富な土地なのかも知れません。
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早くから探せば、湖水地方でももっと安くて良い部屋を予約出来るのかも知れませんが、そうすると天気の良さは保証出来ません。夕食は忘れ難い程美味しかったので、またいつかここを利用出来る事を願って、このコロナ渦中も頑張って生き残って欲しいと祈っています。


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by piyoyoyonyon | 2021-02-23 15:31 | 飲み物・食べ物


こんにちは! ぴよよんです。英国から蚤の市等で出会った愛しのガラクタ達を御紹介する雑貨手帖も3冊目となりました。1冊目、2冊目と共に宜しくお願い致します。


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